家庭内LANをはじめとする、小規模ネットワークの心臓部は「ルーター」だ。しかし、ルーター単体を手に入れるのは意外と難しい。なぜなら、安価な「無線LANルーター」が広く普及しているからだ。電波を使ってワイヤレスなネットワークを構築できる無線LANは、ケーブルもスッキリ、掃除もラクチンということでまさに家庭向け!
さらに最近では、無線LANという本来の役割以外にも便利な機能を搭載するようになった。特集最終回の今回は、テレビなどのデジタルAV機器や、スマートフォンとの連携など、無線LANルーターの付加機能に注目する。
無線LANルーターにはさまざまな機能がある。まずは「メディアサーバー」を紹介しよう。
テレビが地デジに完全移行したことにより、家庭内にあるAV機器のデジタル化も進んだ。これにより、パソコンなどに保存してある映像や音楽、写真といったメディアを、ネットワークに接続された他の機器でも再生・表示できるようになってきている。
国内では、DLNA(Digital Living Network Alliance)が定めた規格が普及しており、ネットワーク対応デジタル機器の多くがDLNAに準拠したクライアント(再生ツール)を持つようになった。
DLNAクライアントを持つデジタルテレビの一例。ネットワークを介して写真を見たり、音楽を聴いたりできる。動画再生が可能な製品も多い
Windows 7もまたDLNA 1.5に完全対応するサーバー/クライアント機能を搭載している。Windows Media Playerなどで映像視聴・音楽再生が可能だ
このとき必要になるのが、各メディアの情報を取り仕切り、他の機器から閲覧できるようにするメディアサーバー機能である。ネットワークに直接つなげられるNAS(Network Attached Storage)の中には、ファイル共有のためのファイルサーバーに加えて、メディアサーバー(DLNAサーバー)機能を持つものもあるが、NASはネットワークが既に稼動している環境に導入するものでもある。
今まで家庭内LANがなく、これから構築しようというなら、メディアサーバーを搭載した無線LANルーターが1台あればいいだろう。
メディアサーバーの機能を利用するのはとても簡単だ。その機能を持つ無線LANルーターの設定画面でチェックを入れるだけ。すると対応クライアントで機器を選べるようになる。
NEC「AtermWR8700N」のDLNAサーバー設定画面。Windows 7のMedia Centreからも利用できる
プラネックスコミュニケーションズ「MZK-WG300NX」の設定画面。DLNA対応のテレビで機器選択
映像、音楽、写真などのファイルをネットワーク上から検索・再生できるメディアサーバーとして、DLNA以外の規格に対応したものもある。動画や音楽データをライブラリー情報ごとに管理・再生できるAppleの「iTunes」を、再生クライアントとして利用する「iTunesサーバー」がそれだ。これもNASなどで採用されていたものだが、無線LANルーターにも搭載されるようになってきた。
プラネックスコミュニケーションズ「MZK-WG300NX」で、iTunesサーバーを動作させる。あとはiTunesが動くパソコンから無線LAN接続すれば、無線の範囲内ならどこにいても音楽が楽しめる!
無線LANは親機があっても子機がなければ意味がない。子機が付属している商品もあるが、基本的にはひとつだけ。いまや、パソコンはひとり1台の時代である。子機が複数必要になるだろう。それでは今オススメの子機は? と聞かれたら間違いなくUSBタイプと答えるだろう。持ち運びがラクなのは言うまでもなく、ここで紹介するタイプは300Mbpsと11nに対応しており、高速通信が可能だ。今回の特集で高速無線LANに興味を持ったら、子機も高速なものを選ぼう。値段は2000~5000円と幅広い。
無線LANのアクセスポイントにもなる子機。ネットに繋がっているパソコンに接続すれば、ニンテンドーDSやPSP、もしくはスマホなどをネットワークに繋ぐことができるスグレモノだ。速度は上記のものと比べると速くはないが、価格も1000円台と安価で、小型なのでデスクトップやノートに接続しても邪魔にならない利点がある。刺しっぱなしでOKという気楽さもある。ひとつは持っておきたい周辺機器だ。