(FNNプライムオンライン)
「電車がこんなに混んでるなら歩けばよかった…」などと思った経験はあるだろうか。また、コロナ禍で3密を回避するのが当たり前になった昨今では、通勤そのものを見直す企業も出てきている。【画像】鉄道の混雑解消を目指す実証実験のイメージそんな中でJR東日本とNTTドコモ、NTTの3社が、鉄道の混雑解消に向けて「行動変容促進技術」の有効性を検証する共同実験を始めた。「行動変容促進技術」とは、行動経済学の知見を生かし、個々人の属性や趣味趣向に応じてパーソナライズした働き掛けにより、人々の行動変容を促す技術。今回は、JR山手線の利用者モニター約1000人に、前日にそれぞれの心理的特性に応じたメッセージを配信して、時差出勤や混雑する電車ではなく徒歩や自転車など別の手段の利用を促す。実験では参加者の心理特性を分析し、行動変容を促す効果的なメッセージを複数パターン作成。前日の18時ごろにドコモの「dポイントクラブ」アプリに、翌日の混雑状況と参加者の特性に応じたメッセージを配信し、実際に行動を変えたか分析するという。実験は1月24日から3月31日までを予定している。
では実際、どんなメッセージが送られているのだろうか?また実験が終わったあと、実用化の可能性はあるのか? NTTの担当者に聞いた。――今回の実験を行う狙いは?新型コロナウイルスの感染拡大により、密集や混雑を回避する「新しい生活様式」の実践が求められております。また、多くの企業で働き方や働く環境を見直す動きが進み、通勤スタイルも多様化しています。これらの状況を踏まえ、鉄道混雑解消および時差出勤の促進を目指し、NTTドコモが保有する行動変容促進技術の有効性を検証致します。――モニターには、どんなメッセージを送っているの?本実験に影響するため具体的なメッセージ内容は回答を差し控えさせていただきます。イメージとしては、例えば利得フレーム(お得な情報への感度が高い)傾向を持つ参加者に対しては、オフピークの行動をとっていただくことで獲得できるポイント数を強調するなどのメッセージ表現です。――メッセージと合わせて、混雑する時間の予測なども送っているの?混雑情報については、混雑傾向の把握に用いてはおりますが、お客様に配信するメッセージ内容には含まれません。――なぜメールやSMSではなくアプリを使っている?メッセージの通知に加え、実際に混雑回避の行動を行なっていたかを確認するためにアプリを用いています。回避行動をとったかどうかをアプリで返答してもらうことにしています。――今後、混雑時の行動変容を促すサービスを本格的に始める?現時点でサービス提供について決定している事実はございません。今回の実証実験の結果を踏まえ、引き続き3社でより大規模な実証実験の実施や商用サービス化をめざしてまいります。実証実験中とのことで、どれほどの行動変容に効果があるのかは現段階では分からなかった。しかし検証の結果、このような方法で電車の混雑が少しでも解消されるのであれば、サービス化などを是非とも進めていってほしい。
プライムオンライン編集部