フィニサージャパン 営業部長 高橋庸輔氏
「2017年から2018年にかけて、サーバーとスイッチ間などのラック内接続を10Gbpsから25Gbpsにアップグレードする動きが一気に盛り上がってきた。ラック間接続についても25Gbpsの光ケーブルを4本束ねて100Gbpsでつなぐ動きが広がってきている。データセンターから外に出ていく長距離通信も100Gbpsが標準になってきている」さらに、「今後は、ラック内の25Gbpsが50Gbps、あるいは一気に100Gbpsに移行するといった形で、ラック内、ラック間、長距離通信のすべてが広帯域化していく」と高橋氏は予想した。データセンターにおける光接続の広帯域化のトレンド
こうしたデータセンターにおける光ネットワークの広帯域化の大きな特徴として高橋氏は、「IEEEで策定された標準規格にこだわらず、いかに安く、効率的にネットワーク作れるかを重視するお客様が多い」ことを強調した。「この点がキャリアネットワークと大きく異なる」という。その代表例が「SWDM4」だ。キャリアネットワークでは、IEEE標準の40/100Gbpsイーサネット(40/100GBASE-SR4)が普及している。40/100GBASE-SR4は、送受信にそれぞれ4芯を用いるパラレルファイバーを使う。対してデータセンターネットワークの場合、10Gbpsイーサネット用のデュプレックスファイバー(2芯)の既存インフラを活かして広帯域化したいという要望が強い。これを可能にするのがSWDM4で、最近データセンターで積極的に使われ始めているという。Finisar社のSWDM4対応光トランシーバーは、40/100GBASE-SR4のインターフェースの先に短波長光多重化装置を付加することで、デュプレックスファイバーのままで10Gbpsを超える高速通信を実現できる。光トランシーバーの形状は、40/100GBASE-SR4で広く使われているQSFP28仕様に準拠しており、40/100GBASE-SR4に対応した光トランシーバーを置き換える形で導入できる。このSWDM4は、光トランシーバーやネットワーク機器、計測器、光ファイバーのメーカーなどが参加するSWDMアライアンスが推進する技術規格だ。データセンターのニーズに対応したソリューション1「SWDM4」
もう1つ、大規模データセンターを中心に利用が広がっている新たな技術規格として、高橋氏は「CWDM4-OCP」を紹介した。CWDM4-OCPは、最大2kmの100Gbps光通信を低コストで実現するCWDM4を、データセンター向けに簡易化したもの。Facebookが主導するオープン・コンピューティング・プロジェクト(OCP)で規格化された。伝送距離を500mに短縮したほか、空調の効いたデータセンターでの利用を前提に動作温度範囲を0~70℃から15~55℃に狭めることで、さらなる低価格化を可能にした。Finisar社ではCWDM4-OCPに対応したQSFP28仕様の光トランシーバーを「CWDM4 Lite」の製品名で展開している。「CWDM4はコストパフォーマンスに優れた技術だが、Liteではさらに製品1個当たり1~2万円ほど単価が下がる。数万ポートの規模で導入される大規模データセンターでは大きなコスト削減につながる」と高橋氏は説明した。データセンターのニーズに対応したソリューション2「CWDM4-OCP」
最後に高橋氏は、「現在、10Gbps、40Gbpsの光接続を行っているデータセンターにとって、100Gbps化は最もコストパフォーマンスの高いソリューション。既存のマルチファイバーをそのまま利用できるSWDM4などの技術を活用してデータセンターを再構築する動きが、さらに広がっていくだろう」と述べて演台を降りた。