Wi-Fiにつながる機器は増え続ける一方だ。PCにスマホやタブレット、テレビにレコーダー、ゲーム、カメラ、プリンター、最近ではスマートスピーカーをはじめ、照明やスマートロックなど、様々なIoT機器も登場している。こうした機器が使われる場所は、Wi-Fiルーターの近くだけとは限らない。例えばWi-Fiルーターは書斎、スマートスピーカーはリビング、IoT機器は玄関というケースだってあるだろう。またスマホやタブレットは、家中のいろんな場所に持ち歩いて使う。つまりこれからのWi-Fiには、たくさんの機器をストレスなくつなげらるのはもちろん、家の中のどこからでも同じようにインターネットにつなげられることが求められるのだ。
そこで最近注目を集めているのが、メッシュネットワークという新たなしくみだ。これまでの家庭用Wi-Fiでは、1台のWi-Fiルーターに複数の機器を接続していたが、メッシュネットワークでは複数台のWi-Fiアクセスポイントが自律的につながり、端末がどのアクセスポイントの近くにあっても、臨機応変にコントロールして、どこからでも同じようにインターネットに接続できる。アクセスポイントが増えれば、当選ながらその分Wi-Fiがつながるエリアも広くなる。これまでも中継機を使ってWi-Fiをより広いエリアで使えるようにする方法はあったが、従来の方法がWi-Fiルーターを起点とする線を延長するようなものだとすれば、メッシュネットワークは文字通りメッシュを作るようにアクセスポイント同士をつなげて、面を埋めていくようなイメージ。中継機を使った場合に起こりがちな速度の低下などもない。
IoT時代を見据えて注目されるWi-Fiのメッシュネットワークだが、日本で購入できる家庭用機器はまだそれほど多くない。そのひとつ『Google Wi-Fi』を使って、実際にどのくらいエリアが広がるのか、安定した通信はできるのかチェックした。なおテストに使用した筆者宅は鉄筋コンクリート造の3階建て。Wi-Fiは障害物が多ければ電波が届きにくくなるのはもちろんだが、上下にはなお届きにくく、ましてや鉄筋コンクリートはかなりの難物である。ちなみにこれまでWi-Fiルーターのアンテナを増強する、中継機を使用するなど様々な方法を試してきたが、いずれの場合もWi-Fiルーターのある1階から、テレビのある3階のリビングまで安定して接続できる環境は構築できなかった。一度専門業者に見てもらった際も、有線で配線するしかない言われてしまったほどだ。このかなり悪条件が、『Google Wi-Fi』のメッシュネットワークで少しは改善されるだろうか。
『Google Wi-Fi』は1万6200円で単体でも購入できるが、メッシュネットワークを構築するには少なくても2台以上が必要だ。最初から3台がセットになったものも販売されていて、今回はこの3台セットパックを使用した。
グーグル製『Google Wi-Fi 3Pack』4万2120円。同梱品はACアダプターとケーブルのみだ。IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth Smart対応。直径106.1×高さ68.7 mm、重さ340g。
背面にはWANポート(モデム(と接続)と、LANポートを搭載。モデムと直接接続するメインのアクセスポイント以外は、両方ともLANポートとして使用できる。ハブを使えばさらに多くの機器と有線で接続することも可能。
箱を空けて3台のGoogle Wifiアクセスポイントを取り出したら、そこからのセットアップは驚くほど簡単だ。まずはスマホに専用のアプリをダウンロード。次に1台目のアクセスポイントをLANケーブルで光回線モデムに接続する。この際、モデムがルーター一体型でも基本的には問題ない。アプリの手順に従って1台目のアクセスポイントの背面にあるQRコードをスキャンし、設置場所(これがこのアクセスポイントの名前になる)を選択。ネットワーク名(SSID)や暗号化キーを設定したら、スマホのWi-Fi設定から先ほどのネットワーク名を選んで接続する。再びアプリに戻り、手順に従って2台目以降を設定。2台目以降はさらに簡単で、電源を入れて設置場所を選択し、あとは手順に従って接続をテストし、問題なければセットアップが完了する。