初期費用を下げて、定期的に払うって発想。
同じ家の中でも、Wi-Fiルータから離れると接続が悪くなったりすることがよくあります。そのスマートな解決策が、Google Wifiのように「メッシュネットワーク」を使ったWi-Fiルータ。でもこの手のルータは、私たちが感じている課題感に対してちょっとお高めであるという問題がありました。
そこで「費用をサブスクリプション制で年間払いにして、初期費用を下げよう」って発想にしたのがPlume(プルーム)です。どれくらい下がるかっていうと、通常なら3万円以上かかる初期費用が1万円くらいになるイメージ。まだ米国のみでの展開ですが、米GizmodoのPatrick Lucas Austin記者のレビューを見るかぎり、日本にも来たらうれしい気がするので、以下見てみてください。
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僕は今までいつも、家の造りが悪くてネット関係でイライラしてきました。廊下が長かったり、レンガの壁が邪魔したりしてなかなか接続が安定せず、イーサネットケーブルとかアンテナエクステンダーとかいろんなSSID名を試してなんとか解決する必要がありました。
この問題を解決するのが、複数のルータを連携させてWi-Fiの死角をなくす「メッシュネットワーク」ですが、メッシュネットワーク対応Wi-Fiルータは普通のWi-Fiルータより高いです。通常僕らはルータにはできるだけお金をかけることをオススメしていますが(毎日使いますからね)、すでにWi-Fiがあるなら、それをメッシュ化するためにさらにお金をかけるのはなかなかハードルが高いと思います。
そこでPlumeは、ハイエンドなメッシュネットワークをより手頃にすべく、今までにないサブスクリプション制のモデルに挑戦しています。サブスクリプションって基本的にはあんまり好きじゃないんですが、でもこれは…わりと気に入ってしまいました。
SuperPod Mesh Router
Plumeとは?:サブスクリプション制でお金を払う、メッシュ対応Wi-Fiルータ
価格:サブスクリプションは年額60ドル(約6700円)、ハードウェアは1-2LDK用が40ドル(約4400円)、3−4LDK用が200ドル(約2万2000円)、5LDK以上用が260ドル(約2万9000円)
好きなところ:セットアップが死ぬほどシンプル。サブスクリプション制で、チープに始められる。美しいデザイン
好きじゃないところ:サブスクリプション制って何か落ち着かない。狭いスペースでは厄介なデザイン
今どきのルータは、ネットにつなぐ以上のことができます。アプリがついてきたりデバイス管理ができたり、ユーザーの(またはその子どもの)端末に関して用途に応じたいろいろな便利機能を提供しています。Plumeはこうした機能をサブスクリプションプログラムと紐づけていて、それに加入するとハードウェアも大幅ディスカウントされるし、保証つき。サブスクリプション制にすることで、ハードウェア売り切りのシステムより初期費用がはるかに心臓にやさしいものになるんです。
だってメッシュ対応Wi-Fiルータって、一般的な売り切りのものだと本当に高いんですよ。メッシュで家中にWi-Fiが行き渡るのはうれしいですが、たとえばEeroだと、初期費用で400ドル(約4万4000円)かかります。NetgearのOrbiは270ドル(約3万円)くらい、これはひとつ前世代のRBK23の3台パックでもこのお値段です。Linksysはさらに高価だし、Google Wifiだって3台パックが290ドル(日本向け4万2120円)くらいします。
対するPlumeは、1〜2LDK用ならたったの40ドル(約4400円)で、それで3バンドのルータ1台とデュアルバンドのルータ2台が手に入ります(内訳は後ほど詳しくご説明します)。それに加えて、サブスクリプションが年間60ドル(約6700円)、または期間制限なしの200ドル(約2万2000円)。サブスクリプションにした場合、累積の支払額が他のメーカーの初期費用に届くまでに4年かかる計算です。
ただしこのサブスクリプションによって使える機能の多くは、他社のルータでは通常無料で含まれるものです。Plumeに付属するアプリやペアレンタルコントロール機能を使いたい場合は必ずサブスクリプションが必要です。
「じゃあ初期費用だけ払ってすぐやめれば、40ドルでメッシュネットワークが使えるようになるんじゃない?」と思われるかもしれませんが、それはできません。最初の1年のサブスクリプションは必須になっているので、このシステムを使うためには最低でも100ドル(約1万1000円)かかります。それでも他のメッシュネットワークシステムよりは最低限の金額が少ないので、これまでの「大きな買い物」が「衝動買い」くらいで可能です。僕ならこの提案に乗ってもいい気がするし、同じように感じる人はけっこういると思います。Wi-Fiにつながりにくい状況は不快だし、破産しない範囲でよりいい選択肢を選べるのは、間違いなくうれしいことですよね。
最初のややこしいサブスクリプションの部分を通り過ぎれば、速くてつながるルータが手に入ります。PlumeのPodとSuperPodはACアダプタ一体型のメッシュルータで、コンセントに直接差し込んで使います。手のひらサイズで、色は控えめなものが数種類あり、小洒落たデザイン会社が作ったかのような雰囲気です。
設定はきわめて簡単。Plume Podをコンセントに差し込み、それをイーサネットケーブルでモデムにつなぎ、アプリを立ち上げてその指示に従うだけ。初期設定が終わったら、他のルータもつないでアプリの指示に従う(このプロセスで、スマートフォンを新しいルータの前にかざす必要があります)、それだけでもう端末がネットにつながります。
SuperPodは3バンドのルータで、デュアルバンドの2.4GHzと5GHzのほかにもうひとつ、部屋に対するカバー率を高めるべく5GHzの電波を出しています。そして実際使ってみると、本当にすごく良くつながるんです。Plumeアプリを使ったネット接続速度テストの結果はGoogle Wifiを使ったときと同等でしたが、その結果は家中どこでも安定していました。
Ars Technicaの詳細なテストでは、内部のネットワークのハンドリングがかなり良いという結果でした。つまりNetflix(またはPlexサーバでも)で動画をストリーミング中、他の誰かがSkypeで電話してもそのせいで不安定になったりしないということです。
ただ、このおしゃれなルータにはデメリットもあります。ニンテンドースイッチ(とかお父さんのカシオのキーボード)に付いてきたACアダプタを知っている人なら、この厄介さをご存じじゃないでしょうか。SuperPodは形もサイズもイレギュラーなので、コンセントの穴が2つ並んだ一般的な電源じゃないと、悩ましいことが起こります。僕の家にはコンセントが3つとか4つ並んだ電源があるんですが、それだとSuperPodひとつでふたつのコンセントをふさいでしまうんです。コンセントが2つの電源だったとしても、スマートプラグのような大きなものだとSuperPodと一緒に差しこめないことがあります。なのでスマートプラグを別の場所に移動するか、SuperPodを望まない場所に設置するか、どちらかを選ばなきゃいけないのです。
そして家の電源は、本棚とかソファとかテレビみたいな大きな家具・家電の近くの低い場所にありがち。電源をあちこち動かすのは非現実的なので、Podの設置場所は家の設計に大きく依存してしまうのが悩みどころ。延長コードみたいなものを使うことも可能ですが、見栄えが悪くなります。
Plumeアプリでは、どのデバイスがどのルータにつながっていて、どれくらい帯域を使っているかがすぐにわかります。ペアレンタルコントロール機能では、子どもが使っているデバイスの接続を遮断することもできます。デバイスマネジメント機能では、スケジュールの設定やデバイスの禁止、兄弟のラップトップをゲスト用ネットワークに隔離して全然違うパスワードを設定、といったことができます。でもこのへんの機能は別にPlumeとかメッシュとかに限らず、一般的なルータでもほぼ普通に入っている機能です。こんなの機能でさえサブスクリプションに含まれていて、システムに変更を加えたりネットワークの問題を診断したりするには年間60ドル必要なのかと思うとイラッとします。
で、Plumeには年間60ドル(約6700円)の価値があるんでしょうか? 僕的には、多くの人にとってはイエスだと思います。Plumeは速いし手頃だし外見も良い。少しずつ定期的に支払えばいいサービスがあるのに、300ドルとかをポンと払える人はあまり多くないと思います。だってPlumeなら、100ドル(約1万1000円)出せばすばらしいメッシュネットワークが手に入って、追加費用は1年後まで払わなくていいんです。これこそメッシュネットワークユーザーを増やす一番かしこいやり方なのかもしれません。
家のWi-Fiがつながりやすくなったらうれしいけど、そのために大金注ぎ込むのはちょっと…と思ってきた人たちに対し、Plumeは手軽な入り口を作ってくれました。サブスクリプションで定期的にお金を取られるのか〜って思う人もいるかもしれませんが、初期費用を抑えられるのはやっぱり魅力です。
・すごく速いです。
・手頃に始められる、サブスクリプション型メッシュネットワークルータ。
・ほんとにつながりやすいです。
・大きいけど美しいデザインは、見栄えはさておき融通が利きません。
・Plumeアプリもナイスですが、パソコンから管理できないのはむしろ笑えます。
・ハードウェアが安く手に入るのは、サブスクリプション費用を払ってもいいと思えるならナイスです。
・100ドル(約1万1000円)のメッシュネットワークを超えるのはなかなか難しいと思います。
Source: Plume, Ars Technica